【研修報告】保育士は「ただ子どもの面倒を見る仕事」ではない。プロとしての専門性と、明日からの組織マネジメント

こんにちは!

本日、乳幼児教育や保育体制の構築を専門に研究されている、大学院の先生が登壇された、保育の質向上に関する大変深い研修会に参加してきました。

今回の研修を通して私が改めて強く再認識したのは、「保育士は、子どもを預かるだけではなく、子どもの発達と未来を設計するプロフェッショナル(専門家)である」ということです

この記事は、現場の先生方や園の経営者の方はもちろん、現在子育て中の親御さんにも、ぜひ「これからの子ども観・子育て観」を考えるきっかけとして読んでいただきたい内容です。

1. 保育士は「プロの専門家」であるという事実

まず大前提として明確にしたいのは、保育士は保護者の皆様と比べて、子どもの発達に関する圧倒的な基礎知識と経験量を持った専門家である、ということです。 (※これは決して「保護者は何もわかっていない」と否定したいわけではありません。我が子への愛情や、その子一番の理解者であるという点において、保護者に勝るものはありません)

しかし、昨今のSNSなどを見ていると、「保護者の要望や意見こそが常に正しい」かのように取り上げられ、保育現場がそれに振り回されてしまう風潮も少なくありません。

プロとしての保育士の仕事は、単に「言われた通りに子どもを安全に預かる(託児)」ことではありません

  • 子どもの些細な行動や成長のサインにアンテナを張り
  • その子の発達段階に応じた適切なゴール(姿)を設定し
  • 「ねらい」を持った環境構成と言葉がけを通して、様々な力を育んでいく

これらをすべて意図的・計画的に行う、極めて高度な専門職なのです。私たちはもっと、この「プロとしての保育士の行動」を正当に評価し、誇りに思うべきだと強く感じました

2. 前倒し教育の罠と「はじめの100ヶ月ビジョン」

世間では「早期教育」や「前倒し教育」として、早い時期から文字が読める、計算ができるといった「目に見える成果」がもてはやされがちです。

しかし、子ども家庭庁が掲げる「はじめの100ヶ月ビジョン」や国の最新の教育方針が示している本質は、全く逆です

  • 勘違い: 幼少期は、色々なことを「早い時期からできる」ようになることが良いことである。
  • 本質: 身体機能や精神が爆発的に発達する乳幼児期には、その時期にしか育たない「五感の刺激」や「情操教育(非認知能力)」に重点的に取り組むことこそが必要不可欠である。

このプロの視点に立つと、昨今話題の「こども誰でも通園制度」の見え方もガラリと変わります。

私は当初、「一時保育があるのだから、わざわざ新しい制度はいらないのではないか?」と思っていました。しかし、この制度の真の目的は単なる「親のレスパイト(息抜き)」ではありません。

「保護者の就労形態に関わらず、すべての子どもが、人生の早い段階から『保育の専門家』と出会い、意義深い関わりを持つきっかけ(セーフティネット)を提供する取り組み」なのだと学び、その重要性をロジカルに納得することができました

3. 現場のリアル:一生懸命だからこそ陥る「同僚への厳しさ」

一方で、保育現場のリアルな課題にも目を向ける必要があります。 これだけ高度なプロ意識を常に求められる保育士の先生方は、本当に素晴らしい存在です。しかし、ここにも大きな「落とし穴」が存在します

  • 「子ども中心」に一生懸命になりすぎるあまり、同僚に対して厳しく当たりすぎてしまう

子どもの成長を心から願う熱い想いがあるからこそ、「なんであの先生はもっと動けないの?」「どうして子どものあの姿が見えないの?」と、同僚への要求や期待が高くなりすぎて、職場の人間関係がギスギスしてしまう。これは多くの園で起こりうるリアルな側面です

だからこそ、私たちはマインドとして「子どもを主体にするために、まずは大人同士が互いをリスペクトする心」を持たなければなりません

経営者・リーダーが取るべき「ロジカルなマネジメント」

  • 自尊感情の言語化と、人前での感謝: リーダーは、個々の保育者の「得意なこと」や「小さな力量」を見逃さず言葉(言語化)にし、あえて人前で感謝を伝えることで、先生たちの自尊感情と自己効力感を育むこと。
  • 「相性」ではなく「プロ同士」として繋がる: 職場の人間関係を、個々の「性格の不一致」や「好き嫌いの相性」といった感情論で判断しない。同じ子どもの未来を預かるプロ(同僚)として、私情とは明確に区別し、ロジカルに関わり合う姿勢が求められます。

4. 先生の自尊心を高める研修から、子ども主体の保育へ

子どもたちが自発的に輝く「子ども主体の保育」を実現するためには、まず大元である「先生たちの自尊心を高める研修」を行う必要があります

先生方自身が「自分はプロとして信頼されている」「自分の保育には価値がある」と自尊心を高め、主体的になれて初めて、園全体がひとつのチームになれます。 感情のすれ違いを乗り越え、「子どもの権利擁護」や「子ども主体の保育を作る」という同じ北極星(目標)めがけて全員で取り組むこと。これこそが、これからの時代に求められる強い同僚性組織です

さいごに:子育て中の皆様へ届けたいメッセージ

毎日、一生懸命に子どもと向き合っている保護者の皆様。

この記事を読んで、少しでも「子ども観・子育て観って何だろう?」「ただ早くできるようになることだけが正解じゃないんだな」と、日々の関わりをふと振り返るきっかけにしていただけたら、これほど嬉しいことはありません。

保育の専門家は、単に子どもを預かる人ではありません。 子どもの成長にプロのアンテナを張り巡らせ、全力で子どもたちの未来に向き合うパートナーです

これからも園と家庭がプロフェッショナルな信頼関係で繋がり、子どもたちに最高の環境を作っていけるよう、私自身も学びを発信し続けていきます。

長い文章になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

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